プロジェクトストーリー


総工費約4億円。奈良県初の大規模雨水貯留対策への挑戦

奈良県北部に位置する、人口約3万2千人の田原本町は土地が低く、4本もの1級河川が流れていることから、浸水が頻発していた地域だ。平成29年10月に上陸した台風21号は、床上浸水10軒、床下浸水46軒もの被害を及ぼした。浸水被害を防ぐべく行政から雨水貯留施設の設計を指名された天理技研は、この課題にいかにして立ち向かったのだろうか。





プロジェクトの概要

奈良県は平成29年10月の台風21号の浸水被害をふまえて、内水氾濫による床上床下浸水被害の解消に向けて、「奈良県平成緊急内水対策事業」を立ち上げた。事業に先立ち田原本町は奈良県で1番に貯留整備工事に着手することになった。そして、この県下初の工事設計として白羽の矢が立ったのが天理技研。
田原本町では、社会福祉協議会とシルバー人材センターの駐車場下に、地下貯留を造ることになった。貯水容量は5000トン。公共事業として5000トン規模の雨水貯留施設の工事は、奈良県にとっても、そして天理技研にとっても経験したことのない初の挑戦であった。






プロジェクトの課題

プロジェクトを遂行する中で2つの課題にぶつかった。第一に地質の問題である。調査の結果「水が溜まりやすい」地盤であることが分かり、掘れば掘るほど地下水が湧いてきてしまう。そのため、鉄の板で締め切ることで地下水位問題をクリアした。
第二に貯水容量変更にともなう設計変更である。当初の計画では3000トンであった貯水容量を、設計している段階で5000トンへと変更することになった。しかし大きなタンクを設置したところで、自然に水が流れ込むのは川と同じ水位まで。それよりも上に水を送るためにポンプの設置が決まり、幾度となくメーカーとやりとりをすることで、苦戦しながらも設計を完成させた。
こうして天理技研は、立ちはだかった2つの壁を全社一丸となり、時に外部と連携することで見事乗り越えたのであった。






プロジェクトの成果

工事はまだ終わったわけではない。しかし、奈良県初の数億円にものぼる大規模構造物、そして天理技研としても初の巨大案件を、無事施工へとバトンを渡すことができた。県初の工事として、ニュースにも取り上げられた一大プロジェクト。この経験を活かし、天理技研は今後も需要の増す災害対策に挑み続けるだろう。






設計者のコメント

2021年春ごろの完成に向けて工事中で、私自身も設計の微修正に対応しているところなので、まだ達成感を味わえていないのが正直なところ。この工事が終わって、貯留施設が完成したときにやっとやり切った気持ちになれるのではないかと思います。ニュースや広報誌で完成が取り上げられたときに「これ、俺が設計したぞ!」と胸を張れる日を夢見て、今日も仕事に取り組んでいます。